sakutaroの「耳打ち 備忘録」

気になったこと、そのまま。そっと友人に知らせるように。

「地の果て至上の時」中上健次 遅読中

十代の頃から気にはなっていたけど、なかなか手がつけれなかった。手にとってチラッと文面を見て「無理!」と思った。

文章が複雑で紀州訛りがねちっこく、文脈をたどるのが大変だったから。

 

ところが、年末年始に熊野方面に取材に行き、

現地の観光資料やパンフレット等に何度も中上健次と「枯木灘」のことが登場していたからだ。

それで気になっているところ、いとうせいこう柄谷行人のインタビューなどを見るにつれ中上健二はやはり避けて通れないと観念。

遅ればせながら、まず「枯木灘」を手に取った。

 

枯木灘」読み始めてから、それが「岬」と「地の果て至上の時」の三部作ということが後でわかった。続いて「岬」を読み、「地の果て至上の時」を手に入れた。「枯木灘」は中編、「岬」は短編だったが「地の果て至上の時」はそこそこ長く、そして濃い、エネルギーに溢れている。ぼーっと読むか対峙しないとまえに進まない。

 

人間の中にはいくつもの物語が動いている。そこを行き来しながら、振り幅に惑わせながら生きていく、それが人間だ。

 

三島由紀夫の「豊饒の海」の時もそうだったが、読んだ後に世界が変わるような予感があるので、読書中の時間は大事にしたいと思う。

 

読み終わったら感想、書く。